毒か薬か
世の中には子供に対する暴力行為や人格否定など、子供に悪影響を与える育児は存在しており、そういった育児をする親は子供にとって毒となるでしょう。
ただ実際には、もう少し軽い感じで毒親という言葉が使われている気がしています。
例えば小さい頃から自分の意思に反する習い事や勉強をさせられたとか、自分の夢や進路について否定されたとか、そういった親に対しても毒親と言う言葉を使っている人達がいます。
だけど、そのような育児は毒にもなれば、薬にもなりえると感じています。
実際にその育児が本当に毒だったのか、毒に見えただけの苦い薬だったのかを判断するのは難しいと感じます。
幸せ
自分の親を毒親と批判される人達の中には、現在それなりに裕福で幸せな生活をおくっている人もいます。
その人達は本当にその毒親に育てられていなかったら、今よりもっと良い暮らしができたのでしょうか?
本当に今よりも、もっと幸せになれていたのでしょうか?
好きな事をしていればどんなに貧しくても幸せだという人もいます。
だけど一定までの収入と幸福度には相関関係があり、学歴と収入もある程度の相関関係があるのも事実です。
過去に舞台女優だった女性が最終的にホームレスになり、バス停で殺害される事件もありました。
亡くなった時の所持金は、わずか8円だったそうです。
私は自分の好きなことや、やりたいことを優先した結果、貧困に陥った人達が、心から幸せだと思っているとは限らないと感じています。
もし毒親に育てられたと言っている人達が、親に何も言われずに、自由にのびのび好きなことだけをして過ごしていたら、今ある幸せは手にできなかったかもしれません。
辛いことを乗り越えた経験
幼少期に辛いことや苦しいことを努力して乗り越えた経験がある人ほど、その後の人生でも我慢したり努力できる可能性は高いと、私は考えています。
子供が嫌と言うことは無理してやらせずに、子供が好きなことや、やりたいことだけをやらせていれば、親は子供と衝突することもないので楽です。
だけど、それは子供の感覚を狂わせる麻薬になってしまうこともあると感じます。
好きなことしかやってこなかった子供達ほど、少し辛いことがあると、すぐに心が折れてしまうのではないかと思います。
麻薬のような親
私は子供が全員が不登校だった家庭を知っています。
親子仲は良く友達同士のような関係で、親は子供に何かを強要することはありませんでした。
こういった親は、子供からすると楽で、一見理解のある良い親のように見えます。
だけど、こういった育児が、子供の人生を狂わせる毒となる場合もあります。
子供から見れば自分に寄り添ってくれる優しくて甘くて良い親だとしても、実際は麻薬みたいに、後々の子供の人生をむしばんでしまうこともあるのではないでしょうか。
逆に毒親と言われている人達の中には、子供からすれば厳しくて苦くて大嫌いな親でも、実際は子供にとって良い薬になっている親もいるのではないでしょうか。
幼少期から習い事や勉強ばかりさせられたとか、親の決めたレールを歩かされたという理由で、親を毒親だと言っている人達の中には、そういうケースもあると感じています。
「有名付属大学に進学せず夢を追う」にも書きましたが、親が子供の無謀な夢を応援した結果、あとで子供が後悔することになった例もあります。
だからこそ親は、ただ子供に甘いだけの親にならないように、気をつけることも大切だと思います。