2016年の夏の事件
2016年の夏、中学受験が原因で父親が子供を殺すという恐ろしい事件がおきました。
その頃、ぼんやりとですが私も息子の進路について考えていたので、とてもショッキングな出来事でした。
そして、これは決して他人ごとではないと思いました。
この事件は、私の中学受験への向き合い方に大きな影響を与えた事件だった思います。
子煩悩
犯人の父親は、子供が中学受験塾に入る4年生よりも前は、子煩悩で良い父親だったそうです。
父親は子供が幼い頃は、子供とキャッチボールをしたり、ゲームを買い与えたりしていました。
ですが中学受験の塾に入ってから、どんどん変わっていってしまったそうです。
私は何がこの父親を殺人へ向かわせてしまったのか、ずっと考えています。
そして、どうすれば、この父親は踏みとどまることができたのかを考えています。
もちろん中学受験をしなければ事件はおこりませんでした。
ただ中学受験をする場合、どうすれば踏みとどまることができたのかを考えることは、息子の中学受験のあり方を考える上でも、意味のあることだと思いました。
理想
この父親は、地域で一番有名な進学校を卒業していて、子供もその中学を目指していました。
「絶対に〇〇に合格」という強い信念は合格を勝ち取る上で必要な場合もあると思います。
だけど、それは諸刃の剣です。
子供が勝手にそう思うならまだしも、親が特定の学校に囚われてしまうことはとても怖いことです。
また子供の夢はあくまで子供の夢であり、親の夢ではありません。
私が高い目標をたてたり、変な夢を見ないのも、この事件の影響があるからなのかもしれません。
子供への過度な期待は、教育虐待につながりやすいと感じています。
自分で決めた
この家庭は、お子さんが自分で中学受験をすると決めたそうです。
もちろん実際には親の誘導もあったと思います。
ただ、子供が自分で中学受験をすると決めたということが、親のストッパーを外してしまう気がします。
だから、私はむしろ親主導で受験させているぐらいの意識でいるほうが良い気がしています。
もちろん本人のやる気は大切ですが、親が子供自身が中学受験を決めたということに囚われすぎるのは、大変危険だと感じています。
子供が自分で決めたことだと思うと、自主的に必死で勉強しないことに、怒りを感じやすくなるのではないでしょうか。
間に合わないことへの焦り
父親を殺人へと向かわせた原因のひとつは「このままでは間に合わない」という焦りだったのではないかと推測しています。
大人と子供は体感的に時間の感覚が違います。
30年生きた人間の感じる1年と、12年しか生きていない人間の1年の長さは違います。
大人は、このままでは中学受験に間に合わず落ちてしまうと感じて焦っていても、子供が同じように焦ることは難しいです。
だから大人から見ると、子供はのんびりしているように見えてしまいがちだし、大人の求めるような必死さが足りないと感じることも多いです。
このままでは志望校に落ちるという恐怖と焦りの中で、何とかしなければという思いから、行動が徐々にエスカレートしてしまったのではないでしょうか。
どうしても子供に行かせたい学校があり、もっと必死になれば行けるとか、時間さえあれば間に合うと思うと、どんどん焦ってしまうと思います。
先取学習
私が早くから息子と先取をしているのは、この事件の影響が少なからずあります。
最後に詰め込めば届くと思うと、親は何をしてでも詰め込もうと思います。
だけど難関校の合格はそれほど簡単なものではありません。
また、一度に詰め込む量にも限界があります。
6年になってから包丁で脅して詰め込むぐらいなら、幼児期や低学年の頃にキャッチボールしたりゲームする時間を削って、少しずつ詰め込むほうがずっと良いと思います。
早くから勉強させると歪むという人も多いですが、遅くから勉強すると親が焦って、かえって歪むケースもあります。
だから、遅くから始めるなら親には絶対に焦らないという覚悟が必要だと思います。
努力不足
子供のことを、やればできる子だと思うと、成績が上がらない時に努力が足りないだけと思いがちです。
もっと必死になればできると思うと、教育虐待につながりやすいと思います。
でも先取学習していると、子供の本当の能力も見えてきやすいと感じています。
そして、長い期間子供と一緒に勉強することで、良い意味で諦めもつきやすいと思います。
結果的に無謀な夢を掲げて教育虐待する可能性は、防げるのではないでしょうか。
地頭
4年生から急に勉強を始めると、子供はまだまだ伸びるとか、これから努力すれば何とでもなると思ってしまいがちです。
だけど、早くから始めることで、我が子が天才ではないことに気付く機会も多いです。
先取学習をしていれば、時間的な余裕も多少は出てくると思います。
そして最難関中学で出されるような難問は時間や努力の問題ではなく、地頭の問題だと親も理解しやすいのではないでしょうか。
時間の問題だと思うと、子供が必死でやれば間に合うとか、睡眠時間を削れば間に合うと考えてしまい、教育虐待につながりやすいと感じます。
でも地頭の差だなと親が思えたら、子供ができるところまで頑張れば、それで良いと割り切りやすいです。
学習習慣
最終的に犯人が子供を包丁で刺すきっかけとなったのは、子供が約束の時間よりも遅く起きて朝食を食べるのに時間をかけ、急かしても反抗的な態度をとったのが、きっかけだったようです。
テストの点が悪かった時よりも、勉強せずに子供がダラダラしている時のほうが、親は子供に怒りを覚えやすいのではないでしょうか。
SNSなどで親御さんの愚痴を見ていても、そう感じることは多いです。
だから決まった時間に勉強を始めるという習慣は、大切だと思います。
そういう習慣を幼い頃から徹底してつけていくことで、無用な親子の衝突を減らすこともできるのではないでしょうか。
たられば
もしも、この犯人が幼い頃から子供と先取学習していたら、ここまで焦って追いつめられることは、なかったのかもしれません。
親が幼い頃から時間をかけて子供の勉強を見るとこで、子供の本来の能力に気付いていたかもしれません。
何時までに朝食を食べ終えて、何時から勉強を開始するというのが明確に決まっていて、幼い頃からその習慣が身についていたら、事件当日、犯人が激高することもなかったのかもしれません。
全部たらればの話であり、それでも悲劇はおこっていたかもしれません。
だけど、私は私なりの方法で、こういった事件をおこさないために、できることをしていきたいと思います。
また、そういう家庭を少しでも減らせるように、先取学習の必要性や地頭のこと、学習の習慣化の大切さなどを、これからもブログに書いていきたいと思います。