勉強
以前、勉強が得意じゃなければ生きていけないかのような思考の親は、視野の狭さや、職業を優劣の目で見ていることを恥ずべきだ、という意見をネットで見かけました。
その人が言うには自分の好きや得意なことをいかして、人や社会の役に立つことこそが、社会の中で生きていくということだと、おっしゃっていました。
でも、私は、その話を聞いて、違和感を感じました。
みんなが、ずば抜けて得意なことがあるわけではないですし、本当に好きなことを仕事にしている人なんてわずかです。
子供の幸せ心から願うからこそ、親は子供に勉強をさせるのではないでしょうか。
年収と幸福度
勉強が得意じゃなければ生きていけないとは私も思っていません。
ただ、勉強が得意でなければ、将来幸せに生きていける可能性は下がると考えています。
勉強ができなければ、選べる仕事は限られるのは事実です。
どうしても入りたい憧れの会社があっても、どれだけ熱意があっても、大学名だけ見て、落とされるのも現実です。
そして、年収と幸福度には一定までの相関があります。
つまり、どんなにきれいごとを言っても常にお金がない状態では、子供が幸せになれる確率は下がってしまいます。
子供の視野
勉強することで子供自身の視野も広がります。
勉強せずゲームばかりして遊んでいる子より、勉強している子のほうが、ずっと、世の中のことを知っているし、考えているのではないかと、私は思います。
以前、大手塾では休み時間に、子供達が次の総理大臣について予想しあっている姿を先生が見かけたという話を聞いたことがあります。
勉強をすることで、視野が広がり、現実的に将来自分がやりたいことを探す、手助けにもなるのではないでしょうか。
逆にゲームばかりして遊んでいる子の中には、ゲームを持ってない子やゲームが下手な子を仲間外れにするような子もいるようです。
やりたいこと
昔からやりたかったことを仕事にしている人は、それほど多くはないと私は思います。
多くの人が好きなことを、仕事にできるほど、得意なことって、なかなかないのではないでしょうか。
芸術家だって音楽家だって、スポーツ選手だって、なれるのは本当に一握りです。
あとの人は夢破れて、とりあえず働ける場所を探します。
結局、自分のやりたかった仕事に近い仕事ができる確率を一番高めやすいのは、勉強なのではないのでしょうか。
勉強ができれば全てが叶うわけではないですが、勉強が全くできなければスタートラインにさえたてない会社も、それなりにあると思います。
ブラック企業
以前、ある引っ越し業者の人間が、トラックの中に同僚を全裸でしばりつけて、ゴムをはじいている動画が拡散されました。
引っ越し業界は人出不足で、今年も春に引っ越しを断られた人が出たという記事もみました。
肉体労働が向いている人もいると思いますが、大抵の人は疲れがたまれば、ストレスもたまります。
それが、やりたくない仕事なら、尚更ストレスがたまるでしょう。
そのストレスが、いじめという形で発散されるのではないでしょうか。
実際、介護の場では、殺人事件までおこっています。
そして、そういう仕事をする人達の中で、昔からその仕事を夢見ていた人は少ないのではないでしょうか?
IQ
犯罪を犯して少年院に来る子供達は一般よりもIQの低い境界知能の子が多いと「ケーキの切れない非行少年たち」の作者の宮口先生はおっしゃっていたと思います。
海外のアベセダリアンプロジェクトでも乳幼児期からIQを上げる取り組みをした子は、大人になってからIQが下がっても、学歴は高く、犯罪率は低かったそうです。
つまり勉強ができず待遇の良い企業にはじかれて、ブラックな企業に就職した人ほど、いじめという犯罪に加担する可能性が高まるのではないでしょうか。
職業を優劣で見るのではなく、冷静な目で見れば、仕事が大変なほど、ストレスがたまりやすく、そのはけ口として悪質ないじめや犯罪がおこりやすいのだと思います。
そのような事情を考えれば、親が子供に良い環境で働いて欲しいと考えるのは当然だと思います。
それを、職業を優劣で見ているだけの親だと考える方のほうが、私は視野が狭いと思います。
子供の幸せを一番に考えるからこそ、親は勉強させるのだと思います。
きっと身の回りに、好きなことを仕事にしている人しかいない人は、余計に視野がせまくなってしまいがちなんだと思います。
逆に勉強ができなかったせいで、その後、苦労している人を知っていれば、余計に勉強は大切だと思うのかもしれません。